2013年09月17日

夏の終わりを観て・・・

瀬戸内寂聴の自伝的小説が原作である、話題の映画【夏の終わり】を封切直後にシアターキノで観ました。

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主演の満島ひかりの評判が良いみたいだけど、私にはミスキャストに思えて仕方なかった。理由は若くて可愛過ぎるから。過去には夫と子供を捨てて若い男の元へ出奔した過去を持ち、その後は一廻り年上の小林薫と8年間同居を続けている38歳の設定だけど、小林薫とは一廻りどころか親子みたいだし、しゃべり方も現代そのまま。彫りの深い小顔ちゃんは昭和劇には似合わない。こけしの中に一人だけフランス人形って感じで、誰なら配役合うかな?と考えながら観ていました。セットや装いは昭和30年代らしい感じが出ていて、小林薫の昭和ぶりが渋くてカッコよかった。

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原作も買ってみました。

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ちょうどその頃、友人から桐野夏生の【ナニカアル】という本を借りて読んでいました。桐野夏生が「放浪記」で知られる作家:林芙美子になり変わって書いた戦時中の日記小説。【昭和17年、林芙美子は偽装病院船で南方に向かった。陸軍の嘱託として文章で戦意高揚に努めよ、という命を受けて・・・】こちらも相当に多情な内容です。実際林芙美子女史もかなり発展家だったらしい。これを読むと林芙美子が書いたとしか思えなくなるし、芙美子ってどんな作家だったのだろうかと興味が沸くところが桐野夏生の凄さですね〜

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さて今でこそ僧侶:寂聴さんだけど、私は子供時代「作家の瀬戸内晴美が得度」かなりセンセーショナルに報じられていた記憶があります。【かの子繚乱】は愛読書で何回も読んでいます(実は他の作品は読んでいない)。昭和14年に没した女流文豪:岡本かの子の伝記小説で昭和40年発行。岡本かの子の文学は豪華絢爛・多調多彩。人物像は作品を上回る天衣無縫・自由奔放、あらゆる表現を上回る強烈さです。寂聴氏がかの子の愛人だった男性を訪ねるあたりから俄然迫力が増します。そんじょそこらの「多情」とは一緒にしないで下さいって感じなんです。凡庸なワタクシは表現する言葉を持ちません。寂聴氏の渾身の力作で普通の本10冊分くらいの読み応えがあります。

作中で、かの子が自分より15歳下だけど既に文壇での位置を築いていた林芙美子を自宅に招く話も描かれていて、苦労人の林芙美子は、「子供のお化け」のようなかの子のことは全く相手にしていなかったようです。

岡本かの子は歌人・仏教研究家として名を成した後、4年間の洋行を経て昭和11年〜14年に一気に作家としての才能を開花させ急死。御子息は芸術家の岡本太郎氏。夫は当時一世を風靡した人気漫画家の岡本一平。本の中では太郎もキーパーソンです。この親にしてこの子あり!と言うのか・・・この親なのに親への包容力と理解を持ち合わせた立派な青年によくぞ成長した!と言うのか・・・

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やっと見つけました。新聞社の特派員も務めた岡本一平氏が描いた風刺画。詰込み教育世代のワタクシ、教科書に乗っていた写真や挿絵の中でこれだけは忘れられません。ロシア人が焼く火の中の栗を拾う日本、促すイギリス、高みの見物のアメリカ。ハハハハですね〜

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【夏の終わり】を買った時に初めて【かの子繚乱その後】があることを知り購入。執筆のメイキングというか、書ききれなかったこと、岡本かの子全集の発売に向けて集めた資料から判明したこと等々描かれています。【その後】だけでも結構濃い内容です。寂聴氏は少女期に岡本かの子の作品を読んで文学を目指し、大学の卒論でも岡本かの子をテーマに書いているほど、かの子への思い入れは強く、その思いが【その後】の出版に繋がったのでしょうか。

【その後】では「夏の終わりの題材となった愛を清算し、移転した六畳の書斎でかの子繚乱書き始めた」と【夏の終わり】シリーズについても述べられています。映画で言うと、小林薫を暮らした家から引っ越した先で書き始め、昭和37年7月から39年6月まで【家庭画報】に連載し、平行しながら【夏の終わり】を執筆し昭和38年5月に発行したのです。

なんだか【瀬戸内晴美(寂聴)・岡本かの子・林芙美子】が繋がって喜んでいるだけのワタクシ、一度だけ寂聴氏の講演を拝聴したことがあります。多分6年前に旭川で「三浦綾子記念館」の会館何周年かの記念講演でした。寂聴氏はお顔もお声もツヤツヤ・ピカピカでした。質問コーナーでワタクシ手を挙げたのに指名されなかったことだけは残念でしたけど・・・。

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posted by ちぃさま at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | BOOK | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
実に興味深いです。
かの子さんはまっこと強烈なイメージがあります
「子供のお化け」納得。
詳しくは読んでませんがある本で岡本かの子の生涯的な
物を一度読みましたが・・
この3冊是非読んでみます
Posted by ririy at 2013年09月17日 02:25
まぁ〜ririyさま〜
かの子に興味がおありでしたら「かの子繚乱」は絶対おすすめです。寂聴さんもいろいろ表現していました。ある意味化け物だけど【魔神】でしょうね。かの子に比べたらどの女性作家も小者です。岡本太郎はあの両親抜きには語れないですねぇ〜
Posted by ちぃさま at 2013年09月17日 22:35
岡本かの子のドラマ,NHKでやりました,ずいぶん前ですが,見ました。見ごたえありました,がしかし配役を忘れました(笑)なるほど,ミスキャスト・・・わかるような気がします。NHKの「開拓者たち」というドラマは,迫真の演技でよかったですよ,泣けました。竹内まりやの主題歌が,これまたよかった。
Posted by miho at 2013年09月18日 12:24
mihoさま
かこ子のドラマで検索したら「TAROの塔」がヒットしました、それは寺島しのぶが演じていました。「夏の終わり」寺島しのぶでもよかったかも・・・満島ひかり私もいい女優さんだとは思うけど今回の配役は年齢が条件でした。映画の間ずっと考えていた私の第一候補は40歳前後の時の田中裕子でした。
Posted by ちぃさま at 2013年09月19日 21:29
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