2012年03月23日

山岳小説

いつになく極寒だった今年の冬。暖房機の故障で1月〜2月の1か月なんとストーブ無しで過ごした(-_-#)寒がりなワタクシにとっては死活問題である!と大げさに騒ぐところだけど、電気ヒータ−借りたり湯タンポでしのいだ。別にこれくらいで死ぬことはない、風邪もひかなかった。

実は年末から山岳小説を読んでいたから「こんな事くらいたいした事でない」と落ち着いていられたし、逆境を楽しむ余裕もあったのだ。マイナス20度30度の中、吹雪にさらされ睫毛も凍る世界。冬に読むには実にふさわしい。読んだ順に紹介。

【凍】沢木耕太郎のノンフィクション

 
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カリスマクライマー山野井泰史と妙子夫妻のヒマラヤギャチュカン登頂の記録。10年ぶりのノンフィクとして大変話題になったそうです。下山途中に雪崩に逢い、想像を絶する×1000倍の困難から奇跡の生還を遂げた。代償は大きく凍傷で手や足の指を失いながらも山に復活。【情熱大陸】に二度も出演した第一人者で新聞でも報道されたというのに知らなかった。


【灰色の北壁】真保裕一

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3つの中編小説。山岳ミステリーというのでしょうか?それぞれ人間模様・心理描写と最後の小どんでん返しが面白い。正月実家に置いてきたので読み返せないのが残念。

     

【神々の山嶺】夢枕 漠

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カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。そのカメラはジョージ・マロリーがエヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの過去を追って、深町はその男と邂逅する。羽生丈二。伝説の孤高の単独登攀者。羽生がカトマンドゥで目指すものは?柴田錬三郎賞に輝いた山岳小説の新たなる古典(amazonより)

冒頭のジョージ・マロリーを最後に目撃した時の同じ登山隊のオデールの手記で一気にひきこまれます。主人公には実在のモデルがいたそうです。現地ネパールの窃盗団の記述が長すぎる気がするけど、「山がすべてだ、山をやめたら生きている意味がない」狂気の沙汰か・とも思えるほど熱く濃い血が通う人間の極限の生の描写と、その山の過酷さが圧巻。

     
     

【遥かなる未踏峰】

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そしてエベレストの本丸:ジョージ・マロリー。
昔、ソ連とアメリカが宇宙開発を競ったように、地球の未踏の地を制覇することをヨーロッパ各国は競った。イギリスは南極点到達に敗れ(スコット、アムンゼンの名前は教科書で覚えている)、エベレスト登頂が国と王室の威信をかけた一大国家プロジェクトだった。だから登山隊も王立アカデミー丸抱えで、登山家も医師や学者などハイソな世界だったのである。その象徴がケンブリッジ大出身の隊長ジョージ・マロリーだ。1924年6月の第三次遠征で、マロリーはアーヴィンと共に頂上を目指したが行方不明となった。1999年に遺体が発見されたが、登頂を果たしたかどうかは未だに謎のままだ。

登山に魅せられた少年が国民の期待を背負い国家事業に巻き込まれてゆく歩みを描いている。知的でフェアな思想を持ち、兵役免除される教員の地位を捨てて、下級将校として参戦したり、遠征時には毎日妻に手紙を書いていた愛妻家は、
エベレスト初登頂に成功すれば月面着陸したアポロ11号のニール・アームストロング船長みたいなヒーローの扱いだったのだろう。遺体の無い葬儀には英国国王も列席したのだ。

映画化の話もあるようです。登山家人生と愛妻物語とのバランスがポイントかも。

     

【ホワイトアウト】真保裕一

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真保裕一が「灰色の北壁」の10年前に発表したベストセラー。山岳小説ではなく雪に閉ざされた標高2千メートルの発電所とダムを舞台にしたテロ&アクション小説。世界陸上の織田裕二主演で映画化されたから今頃になって読むのは恥ずかしいか?実にスリリングで一人でテロ集団と戦う主人公はミッションインポッシブルみたいです。邦画よりもハリウッド向きかもしれない。本の巻頭に現地の地図やダムや発電所の見取り図があれば良かったですね。
posted by ちぃさま at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | 更新情報をチェックする
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