2009年11月16日

国家の罠 佐藤優

これが今回の旅のお供。私は読むのが早いので読み応えがありそうなのがいいなぁ・・と思って。そう言えば、この人の本まだ読んでいなかったし。

091115_2343~01.jpg
佐藤優氏はすっかり出版・論壇のスターだ。その原点が本作で2005年の発売されてベストセラーとなり、「毎日出版文化賞特別賞」を受賞。なるほどこれは傑作だ、一躍脚光を浴びたのがわかる。

鈴木宗男氏と一蓮托生で逮捕された外務省のロシア情報収集・分析を専門をする外交官だった。田中真紀子が外務大臣となり見苦しいものを沢山見せてもらったのが7年半前にもなるのか・・・この当時の様子も詳しくて、ヒゲ面の野上事務次官なども懐かしい。

事件の全容・検察の取り調べの記録から、あくまで佐藤氏の視点でだけど『国策捜査』の全容(でもないけど)を明らかにしている。有罪が確定した内容は「これが犯罪か?あんなに大騒ぎしてこれだけなの?」と驚く。同様に宗男氏からも何も出てこなかった。検察官も佐藤氏の前では「鈴木さん、鈴木先生」と呼び、宗男氏のやったことは犯罪どころか人助けだとも言っていた。

しかし、違法でなくても宗男氏との関係や行動、外交官としては明らかに出過ぎていたから排除されたのであろう。宗男氏の「虎の威を借りる」で元々優れた能力を持つ筆者が助長してしまった面もあったのでは?と思う。だから宗男氏の事件と作るために逮捕されたのだ。

そんなくだらない上げ足取りはまったく及ばないほど、この本はダイナミックだ。背景となるロシアの権力構造・ロシア人の論理、外交の複雑さと深さがダイナミックだ!北方領土返還と日ロ平和条約締結とこう国策達成への戦いがダイナミックだ!そして「これは国策捜査なんだからね、国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです」と宣言する検察官との、真剣勝負が誠にダイナミック!なんです。その世界に読者を引き込ませる佐藤氏の筆力がすごい。記憶力・分析力・構成力・・・さすがだ。

東京地検特捜部検事:西村検察官(当時)。この人がいなければこの本の価値は半分だったと思う。本題の事件についても、そしてこの本の出来栄えや受け入れられ方は随分違っていたと思う。助演男優賞でなくて主演男優が二人と言う感じ。永遠に相いれない敵、だけど尊敬し合い人間の本質的な部分でがっぷり組み合った勝負と取引は一番の見どころで、一読の価値はあるかと思います。
posted by ちぃさま at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック